糖分をとりすぎると血糖値が上昇し、その血糖値を下げようとして「インスリン」が大量に分泌されます。血糖値が下がると、体が低血糖状態となり、疲れ・だるさ・眠気などの症状が現れます。このように糖分と直接関係のあるホルモン以外にも、「糖質」「糖化」「AEG」と「ホルモン」が深く影響し合っています。
糖質制限で痩せるメカニズムとインスリン分泌
肉やチーズなどの脂質やタンパク質を中心とした食事で糖質制限を行うと、体内では糖質から脂質にエネルギー源のシフトチェンジが起こり、内臓脂肪を燃やし始めます。
一方、糖質をたくさん摂取すると血糖値が上がり、膵臓のβ細胞からインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは血糖をエネルギーとして各器官に運びますが、インスリンの働きが機能しなくなり高血糖状態が続く疾患が糖尿病です。
インスリンは血糖値を下げる働きがありますが、同時に脂肪を体内に蓄える性質もあるため、太りやすくなります。糖質制限をすると血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの分泌量が減ることで脂肪がつきにくくなります。

また、血糖値を上げるホルモンにはインスリンと拮抗するグルカゴンだけでなく、成長ホルモン、コルチゾール、アドレナリン、甲状腺ホルモンなど多数あり、これらのホルモンが何らかの病気により正常よりも大量に分泌されるとインスリンとのバランスが取れず、血糖値が必要以上にあがってしまいます。
さらに脳内では、ドーパミンが減少する「ドーパミン低下」という現象が起こります。ドーパミンは元気にハツラツとした日々を過ごすために必要な脳内物質ですが、分泌量が減ると「元気が出ない」「体がだるい」「寝ているのに眠い」などの症状を感じてしまうのです。
睡眠時間と糖化
特に睡眠は質も重要で、寝不足が続くと体内や肌にたまったAGEを排出できず、糖化が進んでしまいます。毎日6時間以上の睡眠を確保し、毎朝決まった時間に起きることで体内時計をリセットし、メラトニンの原料である脳内伝達物質「セロトニン」を増やすことも効果的です。寝不足だと、外見も疲れて見えて、年齢よりも老けて見られます。

セロトニンを増やす活動として、太陽光を浴びると体内時計がリセットされ、セロトニンを分泌する神経が活性化されます。
蛍光灯などの照明の強さでは神経に働きかけないため、屋外で直接太陽の光を浴びることがポイントです。30分の日光浴でセロトニンの活性化が起こると言われています。
一方食事では、セロトニンの原料であるトリプトファンや、トリプトファンからセロトニンを合成するときに必要なビタミンB6を豊富に含む食品を摂ります。トリプトファンは体内では生成されないため、食品から摂らなければなりません。おすすめの食品としては、バナナ、乳製品、大豆製品、赤身魚、玄米や小麦胚芽、牛や豚、鶏のレバー、マグロや鰹の赤身などが挙げられます。また、豆乳にはトリプトファンとたんぱく質が豊富に含まれており、セロトニンを生成する効果や自律神経を整える効果が期待できます。

糖質と男性ホルモン

糖質の過剰摂取は体脂肪の増加につながり、肥満の原因となることが知られています。しかし、糖質制限を長期間続けると男性ホルモンのテストステロンが減少することがあり、性機能や筋肉の維持に影響を与える可能性があります。テストステロンの分泌を高めるには糖質とコレステロールが不可欠なので、糖質制限は適切に、カロリー過多にならないように気をつけて摂りましょう。
極端な糖質制限や過剰摂取を避けて、食べる順番に工夫をしたり、糖質を摂り過ぎないことを心がけると良いかもしれませんね。
糖質制限と女性ホルモン

また、糖質制限の食事では、糖質の多い炭水化物中心の食事から、糖質の少ないタンパク質中心の食事へと変えていきます。タンパク質はホルモンの原料になり、女性は年齢を重ねるごとにホルモンの分泌が低下していきますが、糖質制限でタンパク質の摂取を増やすと、ホルモンバランスの乱れが原因となる自律神経症状が緩和される可能性があります。